東野圭吾のナミヤ雑貨店の奇蹟を読んで
東野圭吾は容疑者xの献身を読んでからとても好きな作家だ。東野圭吾は推理小説家というイメージもあるが、ファンタジーのジャンルも書いている。天才推理小説家の書くファンタジーがどんなものなのか気になり、今回読んでみた。
あらすじは大まかに書くと、以下の通りである。
強盗を働いた3人組が古い空き巣に逃げ込んだ。その古い家に滞在中、外にある古い牛乳瓶になぜか、お悩み相談のような手紙が投下された。その回答を牛乳瓶に入れるとすぐに返信が返ってきて、またやり取りが続く。段々やり取りしているうちに気づく・・・。牛乳瓶での手紙のやり取りは、過去と現在をつなぐものであることに。複数人のとある事情を抱えた相談者とのやり取りの中で、3人組は大切なことに気づかされる。といった内容だ。
私がもしこの小説の登場人物から相談を受けたら、上手く答えられる自信がない。テーマが重いのだ。
恋人の死を見届けるか、オリンピックに向けて練習するか。
体調不良のお父さんの店を継ぐか、自分の夢を追いかけるか。
自分のしていたことは正しかったのか、間違えていたのか。
心が離れた家族とのつながりを切るか、それでも家族に従うか。
夜の街に働いてまで家族を守るか、別な道を探すか。
登場人物たちは、相談の手紙では伝わらない様々な事情を持っている。物語の中で、この相談者たちは、相談している時点ですでに自分の中で答えを持っているのかもしれないと述べられている。彼らが欲しいのは、その答えが正しいかの確認だ。もし回答が自分と異なっていて、そのアドバイスを聞き入れるかはその人の心がけ次第なのだと。
人の絆が切れるときはどんな時か。それは心が完全に離れてしまった時である。ビートルズは心が離れてしまったから、解散してしまった。これは普段の日常生活からも言えるだろう。